新発売された鼻腔粘膜ワクチン

こんにちは、ひだかC.L.Cの獣医師 タケダです。

牛RSウイルス抗原を追加した新しい鼻腔粘膜ワクチン「ティーエスブイ3(TSV-3)」が発売されました。

今まで使用していた「ティーエスブイ2(TSV-2)」は牛伝染性鼻気管炎ウイルス、牛パラインフルエンザ3型ウイルスの2種類が入ったワクチンでした。

新たに出たTSV-3には3つの特徴があります。

  1. 牛RSウイルス感染症への効能が追加
  2. 出生直後より投与が可能(TSV-2は1か月齢以上が原則)
  3. TSV-2と同様に鼻腔粘膜免疫能を刺激

使い方は出生後に鼻の穴にシュッと入れるだけです(TSV-3は片側に入れて効果あり)。投与後2週間後からは確実に効果を発揮します。効果は64日間持続します。

これによりワクチンプログラムは柔軟に考えることができます。私たちが勧めている1例を紹介します。

上の図のように、TSV-3を生後直後に投与し、離乳前(65日)に今まで離乳後に投与していた生5種ワクチン(あるいは生6種ワクチン)と嫌気5種ワクチンを注射します。さらにこの間に細菌性肺炎予防のためのキャトルバクト3を30日間隔で注射します。こうすることで、新たに追加されたRSウイルスへの効能が途切れることなく出荷まで維持されます。

 このようにTSV-3を最大限に活かすために、3か月齢以上で注射していた生5種ワクチン(あるいは生6種)と嫌気5種ワクチンを離乳前の65日齢程度で注射するとよいかと思います。

今年の冬はRSウイルスの肺炎が多発し、私の診療している農家さんでも数頭が死亡しました。その中には、RSウイルスのワクチンがしっかり効いていれば助かった命もあったでしょう。

感染症は予防が非常に重要です。発症しない(発症しても軽く済む)ように、できることをしていきましょう。

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