農業技術10大ニュース2022

2022年12月28日掲載北海道新聞 引用

2022年12月28日の北海道新聞に農業技術10大ニュースが掲載されていました。

農業専門紙を含む30社の記者の投票により選ばれた優れた農業水産分野の研究成果だそうです。

1位は、牛の胃から発生するメタンを抑える細菌を発見したことでした。

メタンガスは二酸化炭素の25倍も温室効果があり、全世界の温室効果ガスの約4%が家畜の胃から出るメタンガスだそうです。

日本ではさほど大きくは取り上げられていませんが、ヨーロッパでは大きな問題として捉えられていると聞いています。

牛には4つの胃があり、人と同じ胃は4番目の胃で、第1胃は胃とは言うものの発酵タンクで成牛では大きさがドラム缶1個分もあります。ここにはたくさんの菌が住んでいて、口から入ってきた草や配合飼料が菌により発酵されます。そしてできた酸が胃の粘膜から吸収され牛のエネルギーとなり、またそこで発生したアンモニアを食べた菌が小腸で消化されて牛のたんぱく質となります。

第1胃の発酵ですべてが酸になってくれると良いのですが、そうはならずメタンガスも発生してしまいます。メタンガスは牛のエネルギーにならないので口からげっぷとして出します。メタンガスを発生させずにあるいは減らして、酸の生産に振り向けることができれば一石二鳥となります。

モネンシンという抗菌剤の一種がその効果があるとされています。モネンシンは牛に与えても第1胃の中でのみ作用し、牛の体にはほぼ吸収されず、吸収されたものもすぐに体外に排出されるので牛乳や肉を通して人に悪影響はないと言われています。しかし乳牛には使用不可で、肉牛においても昨今の抗菌剤の使用抑制の考えから積極的使用には懐疑的です。

出光興産のルミナップという製品はカシューナッツを特殊加工したもので、メタンガスを抑える効果があるとされています。

明治飼糧が輸入しているブルーコンシェルもルミナップと同じような効果があるとも言われています。

この度の発見がこれらと同等あるいはそれ以上なのかは私には現時点ではわかりませんが、いずれにしてもメタンガスを減らし、酸の生産を増やすことができれば配合飼料の節約にもなるし温室効果ガスを減らせることになります。

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