現役獣医師が解説! 病気に強い子牛に育てるには
日に日に寒くなっていく季節となりました。
秋は日中と夜間の寒暖差が大きく人も子牛も対応するのに大変です。
寒さのストレスは免疫が低下させます。もともと免疫力が高くない子牛は風邪や下痢を起こしやすくなります。そこで、ストレスに負けないように免疫を高める必要があります。
今回は、子牛の免疫を高めにはどうするかについてお話します
初乳(母牛からもらう免疫)
出生後できるだけ早く(6時間以内に2L以上)初乳を飲ませます。
できれば母乳がいいのですが、農場の状況により初乳製剤を与えることを勧めることもあります。
子牛は初乳によってしか親由来の免疫を受け取れない(生後24時間を過ぎると初乳の吸収がほとんどできなくなる)ためとても大事です。
ただ24時間以内に初乳を飲めなかった子牛は、ずっと免疫がない子牛になるかというとそうではありません。なぜなら、自分自身でも免疫をつくれるからです
胸腺(子牛自身でつくる免疫)
子牛の胸腺は自身の免疫を産生する器官です。胸腺は胎子期(胎齢4か月~)に作られるため、母牛の栄養状態を良くすることで子牛はおおきな胸腺をもって生まれてきます。この胸腺が子牛の成長に伴いさらに大きくなり免疫を高めていきます
腸で免疫の8割が作られますので、健康な腸をもって生まれる必要があります。ここでも胎子期の母牛の栄養状態が大きく影響します。
そして、出生後から生菌剤を与えて腸内環境を良くすることで免疫があがります。
つまり子牛の免疫を高めるためには、つきつめれば母牛の栄養状態が大きなポイントとなるのです。
函館市出身。中学から大学までサッカー部所属。趣味の旅行と美味しいご飯を食べるために、大学時代には毎朝農家バイトで汗を流す。獣医師となった今は、農家さんの直面する問題を解決するのが生きがい。
今年から子牛の免疫を研究テーマとして酪農学園大学研究生となった。
日常の診療等はBOKUJOBでのインタビューをご覧ください。