ティーエスブイ3(TSV-3)について
寒い季節になり、子牛たちが風邪をひかないか心配だという声を聞きます。対策の一つ、「ティーエスブイ3(TSV-3)」について改めてお話します。
使い方は出生後に鼻の穴にシュッと入れるだけです(以前は両方の鼻の粘膜に半分ずつ入れることと説明されましたが、今は片側にいれて効果ありです)。投与後、鼻の粘膜での免疫はすぐに、全身の免疫は2週間後からは確実に上がり効果を発揮します。効果は64日間持続します。
3つのウイルスに対する抗体を作ります(牛伝染性鼻気管炎ウイルス、牛パラインフルエンザ3型ウイルス、牛RSウイルス)が鼻の粘膜での免疫はいろんな病原体の防御に効果を発揮します。
先日、ゼノアック主催でビクター・コルテッセ先生の講演をwebで見ました。その中で先生は、TSV-3の最適な投与方法についてお話していました。
「母牛は分娩3週間前と分娩した日の2回、子牛は生まれた日と5週齢の2回接種がおすすめです。」
母牛の免疫がもっとも低下するのは分娩時であり、その時にTSV-3を投与し免疫を上げることが重要で、これにより胎盤炎、乳房炎、胎盤停滞が少なくなり、廃用が減少すると述べていました。これまで僕は母牛に接種するという考えはなかったので新鮮でした。
また、子牛においてもっとも免疫が低いのは生まれた瞬間である。子牛は生またすぐに牛舎内で感染が起こるため、24時間以内にTSV-3を投与することで病気の予防ができると述べていました。農家さんから「子牛にTSV-3接種のもっともよいタイミングはいつがいいのか?」と聞かれ生後5日までに接種しましょうと言ってきましたが、生後すぐの接種のほうが好ましいということなのでしょう。
函館市出身。中学から大学までサッカー部所属。趣味の旅行と美味しいご飯を食べるために、大学時代には毎朝農家バイトで汗を流す。獣医師となった今は、農家さんの直面する問題を解決するのが生きがい。
今年から子牛の免疫を研究テーマとして酪農学園大学研究生となった。
日常の診療等はBOKUJOBでのインタビューをご覧ください。