牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD)について続報
こんにちは、ひだかC.L.Cの獣医師 タケダです。
前回話した牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD)に関して、その後の検査で発生は確認されず、突発的に発生したものだったと考えられました。しっかりと親牛にワクチン接種(ボビバックB5)していたことが良かったと思われました。
BVDは日高地域においてほとんど発生が見られません。
しかし、北海道では毎年300頭以上発症しています。発症した牛には治療法はなく、ほかに感染させる恐れがあるので殺処分することが法律で決められています。ワクチンをしていればほぼ感染を防ぐことができます。ぜひ下痢5種ワクチンと合わせてボビバックB5も注射することをお勧めします。
親牛に摂取するワクチンについて説明しておきます。親ワクチンはほとんどの農家さんで2種類(ボビバックB5と下痢5種)しています。ボビバックは呼吸器病の予防ために、下痢5種ワクチンは生まれてくる子牛の下痢の予防のためにおこないます。
もし「生まれてくる子牛が必ず下痢をして困る」という場合には下痢5種ワクチンがうまく効いていない可能性があります。
では、どうしたらいいのかというと、一つはワクチンの2回接種です。
初産牛には必ず2回注射しなければなりません。なぜなら2回目でようやく体内の免疫(抗体)が上がるからです。その後、2産目からは1回の注射で体内に必要な免疫(抗体)が上がるとされています。しかし、その効果が十分でない場合があります。この場合、子牛は下痢をします。
もう一つの対策は親の栄養管理です。
親の栄養状態が悪い場合には、胎児期の臓器が十分に発達せず未熟のまま生まれたり、親の初乳が子の免疫となることを考えればよい初乳を飲めない子牛が下痢をしやすいことは容易に想像できます。
子牛の下痢で困っている場合には
1 親に2産目以降も下痢5種ワクチンを2回注射する。
2 親の栄養状態を把握する(代謝プロファイルテスト:MPT)
ことを考えてみてはいかがでしょうか。
函館市出身。中学から大学までサッカー部所属。趣味の旅行と美味しいご飯を食べるために、大学時代には毎朝農家バイトで汗を流す。獣医師となった今は、農家さんの直面する問題を解決するのが生きがい。
今年から子牛の免疫を研究テーマとして酪農学園大学研究生となった。
日常の診療等はBOKUJOBでのインタビューをご覧ください。