馬のフレグモーネ
治りづらい病気
馬は感染に弱く、ちょっとした怪我でも化膿したり腫れたりすることがあります。その中でも厄介なフレグモーネという病気があります。傷などからバイ菌が入って皮膚の下が腫れてしまいます。皮膚の下に炎症が起こるので全身に抗生物質を注射しても患部には十分な量が届かず、腫れがもとに戻ることが困難であることもしばしばです。
最近の治療
足の下から駆血するゴムを巻いていきます。上まで巻いたら一番上だけを残して下のゴムをはずします。すると完全ではないけれどゴムより下は血液が少ない状態で全身の循環とは隔離された状態になります。そこへ静脈の中に抗生物質を入れるとゴムより下に十分の抗生物質が行き渡るのです。抗生物質の量は全身に注射する量よりずっと少なくて済むので副作用のリスクも少ないのです。ゴムは30分ほどしてから外します。
新しい処置法
この治療法はリージョナル パーヒュージョン regional perfusion と言い最近は普通に行われる処置ですが、私が若いころには思いもつかない方法でした。この方法を使い抗生物質だけでなく局所に高濃度に薬を届けることもできるのです。改めて現場でできる処置も進化しているなあと想うこの頃です。