牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD)が発生しました
こんにちは、ひだかC.L.Cの獣医師 タケダです。
先日牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD)が発生しました。僕が獣医師になってから初めての経験ですが…皆さんはこの病気をご存知でしょうか?
BVDはウイルスの感染によって、育成牛には肺炎や腸炎を引き起こすほか、妊娠牛には流産や繁殖障害を引き起こす届出伝染病(牛白血病と同様のくくり)です。
一般的に育成牛や親牛に罹っても軽い風邪程度でそれほど重症とはなりません。
しかし妊娠牛が感染すると、本病に特有の持続感染牛(PI牛)が産まれます。この牛は常に多量のウイルスをまき散らし周りの牛の感染源となります。放っておくと農場の子牛がすべてPI牛となる可能性もあります。
このPI牛自体は一見正常牛のように存在し、病気であると気付かない場合もあります。
BVD発生後は、血液検査による農場の全頭検査とその後生まれてくる子牛を順次血液検査をしていくことになります。PI牛には治療法は存在しないため、たとえ元気であっても淘汰が必要となります。
重要なのは予防となります。実はその予防は既に皆さんが行っている親のワクチン(商品名:ボビバック、ストックガード)の中に入っていて、感染拡大を防いでいます。
ある調査では二人に一人が『抗生剤』は風邪に効く、あるいはインフルエンザに効くと誤って認識しているとのこと。抗菌薬の働きは「細菌の増殖を抑える」ことですから「風邪をひいたから抗菌薬を処方してほしい」は間違っている場合があります。人の風邪のほとんどはウイルスが原因だからです(インフルエンザもウイルス)。
環境中細菌が多い牛では上記の話は全く変わってきますが…人における一番の薬は十分な栄養と水分だそうです。「つらいだろうから、ゆっくり休んでね。」が正解だとわかっていてもそうはいかないですよね。
函館市出身。中学から大学までサッカー部所属。趣味の旅行と美味しいご飯を食べるために、大学時代には毎朝農家バイトで汗を流す。獣医師となった今は、農家さんの直面する問題を解決するのが生きがい。
今年から子牛の免疫を研究テーマとして酪農学園大学研究生となった。
日常の診療等はBOKUJOBでのインタビューをご覧ください。